研究概要 |
1.Lewisラット胸部下行大動脈をBrown Norwayラット(isograft群ではLewisラット)腎動脈下腹部大動脈へ吻合し移植モデルを作成し、凍結保存大動脈グラフトおよび新鮮大動脈グラフトの組織変化を検討してきた。 (1)グラフト内膜肥厚は28日以降で新鮮isograft群を除き観察された。Allograft群では56日以降では有意差をもって肥厚が高度となっていた。凍結保存群は新鮮群に比べて内膜肥厚が強い傾向を認めた。 (2)MHC class I抗原を標的とした免疫染色ではBrown Norway由来細胞のコントロール染色に成功したが、Lewis由来細胞のコントロール染色が得られず、内膜のドナーまたはレシピエント由来を判定できなかった。 (3)MHC class II抗原を標的とした免疫染色ではドナーおよびレシピエントのコントロール染色が得られた。グラフト染色の結果、従来早期にドナー由来内膜細胞は消失するとされてきたが56日目でもドナー由来細胞が確認された。 2.ドナー由来細胞消失までの免疫抑制剤急性期短期投与を考えていたが、以上の結果から組織学的に内皮が移植後初期に消失する時期までの投与とすることに変更した。 (1)凍結保存allograft群と新鮮allogarft群において術後1,3,5,7,10,14日目にグラフトを摘出した。内皮に関し組織学的検討中。 (2)Cyclosporin 5mg/kgを移植時より10日間筋注投与し56日目のグラフトを組織学的に検討中。10日間投与の有効性が確認された後に最適投与量を決定するために1mg/kg投与群を作成比較検討中。 (3)ドナーおよびレシピエントを雌雄別にしY染色体の有無による再生内膜の由来を検討するプロジェクトは当初の予算を超過し試行不能となっている。他の方法を検討中である。
|