研究概要 |
肺癌症例において癌部および非癌部組織を採取し,検体組織中の酵素テロメラーゼを抽出,PCR法を用いてテロメラーゼ活性を測定した.さらに採取された検体組織からRNAも抽出し,RT-PCR法を行って肺癌及び非癌部におけるhTERT gene mRNAの発現状態を測定した.62例の肺癌組織検体中,テロメラーゼ活性は47例に,hTERT gene mRNAの発現も47例に認められ,いずれも陽性であった症例は39例であった.しかしながら,62例の非癌部組織には,テロメラーゼ活性及びhTERT gene mRNAの発現は,いずれも認められなかった.テロメラーゼ活性陽性・hTERT gene mRNA陰性の症例は8例,テロメラーゼ活性陰性・hTERT gene mRNA陽性の症例は8例,テロメラーゼ活性陰性・hTERT gene mRNA陰性の症例は7例に見られた.また今回,hTERT gene mRNAのRT-PCR産物を電気泳動した後,デンシトメトリーを用いて泳動写真からバンドの濃淡を数値化し,hTERT gene mRNAの発現の強さを半定量化した.テロメラーゼ活性とhTERT gene mRNAの発現レベルの半定量的解析によると,hTERT gene mRNAの発現は,テロメラーゼの活性と相関することが判明した(r=0.4,P<0.002).
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