肺手術後の空気漏れは、以前から問題になる肺手術後合併症であったが、胸腔鏡が導入され、胸壁との癒着が少なくなったための虚脱や、また、胸膜癒着剤を使用することが胸腔鏡の優れた術後肺機能温存を妨げること、さらに、早期の退院が要求される最近の呼吸器外科で問題になっている。従来より、空気漏れの量の測定はフローメーター等で実験的には可能であったが、実際に使用するには、数日間の0レベルの安定度や、患者が動きまわる時に其の都度、セットアップしなければならない点、価格の問題など実用的なそれはなかった。私たちは通常のパソコンとWebカメラを利用、Linuxでプログラムを組むことで安価な長時間安定した測定システムを考えている。 方法・原理:ドレーンバッグ(MERAアクアシールD2)の水封部分に、泡が発生するようにイソジンスクラブを少量入れ、水封部分を貼った緑と青のテープの間を泡が成長する様子をWebカメラ(Logitech QV-4000)で観察、その動画をデジタル解析することで空気漏れの量を測定するプログラム(C言語、アプリケーションとしてGTK_+及びMAlibを利用)の開発を試みている。現在、空気漏れの量やパターンによっては安定した測定は出来ず、症例に応用をしていないが、プログラムの改良により十分臨床応用可能であると考えている。データは、LANでWindowsのパソコンに取り込み処理を出来るように出来る。 結論:本法は、従来の経験的な方法による術後の空気漏れに対する対処法を定量的に吟味できることで画期的である。
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