研究概要 |
前回の報告に加え総60例の非小細胞肺癌について免疫組織化学的に臨床病理学的検討を行った。60例の内訳は腺癌42例、扁平上皮癌18例で病期はI期30例、II期12例、III期18例であり、病期による発現差がみられた(I期vsII+III期,P<0.05)(I期症例で高発現が多かった(30例中21例陽性))。組織型、分化度、リンパ節転移の有無との相関はみられなかった。予後との検討では5年生存率、Disease free intervalにおいてALCAM/CD166の発現の陽性症例が予後良好であった。同じ連続切片上でのE-cadherin、annexinIIの発現を免疫組織化学的に比較検討したが有意な相関は認められなかった。RT-PCRによりALCAM/CD166 mRNAの発現を正常肺組織、肺癌組織ともに認め、β-アクチンを内因性コントロールとして半定量した。Densinometric analysisの結果(n=20,Mean±SD)、正常肺組織0.89±0.21、肺癌組織2.41±0.32と有意に癌組織で高値を示した(P<0.001)。ALCAM/CD166 mRNAの組織局在についてはin situ hybridization法により検討した。正常肺組織の肺胞上皮細胞の核周囲にALCAM/CD166 mRNAの発現がみられた。また、癌組織では癌細胞の細胞質に強い局在が確認できた。 現在、種々の肺非小細胞株(PC-7,PC-9,PC-13,ABC-1A-549,LC-1sq, EBC-1,SQ-5)を用いてALCAM/CD166、E-cadherin、α-catenin、annexin IIのmRNA発現をNorthern blot法にて分析し、発現差を比較し相関を検討している段階である。 上記内容について前回に引き続き第9回Central European Lung Cancer Conferenceで学会発表を行うことが決定している。
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