研究概要 |
Rho/Rho kinase系が脳血管においても重要な血流制御因子であることが注目されており、ラクナ梗塞の病態にも大きく関与していることが示唆されている。よって穿通動脈におけるRho kinase系の血管制御を解明することは,ラクナ梗塞への新しい治療法・予防法の開発に直結すると思われる。本年度は、生理的な状態におけるRho-kinase系の関与に関する研究を行った。 1.血管生理学的研究 SDラット(雄、12週齢)の中大脳動脈より分枝する穿通動脈(血管内径50〜100マイクロメートル)を顕微鏡下に摘出し実験に用いた。摘出した細動脈の両端を、臓器槽の微小ガラスピペットを用いてカニュレーションし血管内に圧力を負荷し顕微鏡下に血管内径を観察した。臓器槽は髄液のpHである7.3、温度37℃に保たれた生理学的溶液を持続的に灌流すると自発性の血管収縮反応を認めた。この状態(生理的な条件下)をコントロールとして2種類のRho-kinase inhibitorを投与した。Rho-kinase inhibitorは低濃度より用量依存的に血管弛緩反応を惹起した。つまり、生理的な条件下でRho-kinaseは活性化されており血管の定常状態を制御している一因であることが判明した。 2.分子生物学的研究 摘出した血管のRho-kinaseの発現を抗体を用いて組織学的に検討すべく予備実験を行った。
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