研究概要 |
まず蛍光顕微鏡、超高感度CCDカメラ、コンピューター等を組み立てて、カルシウム画像解析のシステムを構築した。画像処理装置・画像解析ソフトを準備し、正常ラットの大脳スライス標本を用い、神経興奮におけるカルシウム波の流れを解析している。静止状態の細胞内カルシウムを測定した後、スライスの一部を電気刺激して伝搬するカルシウム波を観察している。 次に神経毒であるカイニン酸を扁頭核に注入した側頭葉てんかんモデルラット(カイニン酸誘発てんかんラット)を作製し、このモデル動物における脳スライスでのカルシウム波の流れを解析し、神経興奮性をカルシウム画像として正常群と比較検討している。現在のところは海馬スライスにて検討を行っている。 臨床研究として、MRI, SPECT,ビデオ脳波同時記録、24時間記録脳波等のプロトコールに従った術前検索を行い、難治性てんかん患者の手術適応を決定している。次に、手術中に超音波断層検査、皮質上および深部電極脳波、レーザドプラによる病変部の局所血流測定などをくり返し行いてんかん原性病変を同定する。患者様に十分説明してインフォームドコンセントをえた上で、同定された焦点を外科的に切除し、大脳皮質・海馬などの切除病変のスライス標本を作製する。作製されたスライス標本を動物実験と同様に実験に使用し、静止状態の細胞内カルシウムを測定した後、スライスの一部を電気刺激して伝搬するカルシウム波を観察する予定である。 最終的には静止および興奮状態の細胞内カルシウムの異常をMRI画像上のてんかん原性病変と比較し、切除すべき病変部を同定する指標とすることを目的にしている。
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