(1)胎齢10.5日ラット中脳胞部神経板組織をドナーとしたパーキンソン病モデルラット脳内移植実験では、アンフェタミン誘発回転運動は移植後経時的に減少する傾向を認め、培養液のみを注入した対照群と比して有意差を認めた。免疫組織化学的検討では、移植片内に多数のHu陽性である神経細胞を認め、その一部はtyrosine hydroxylase(TH)陽性であった。また、胎齢10.5日ラット中脳胞部神経板由来fibroblast growth factor-2(FGF-2)反応性neurosphereをドナーとしたパーキンソン病モデルラット脳内移植実験でも行動学的改善を認めた。免疫組織学的検討では、移植片内に多数のHu陽性である神経細胞を認めたが、TH陽性細胞を認めなかった。 2)胎齢10.5日ラット中脳胞部神経板由来FGF-2反応性neurosphereに対し、Sonic hedgehog(Shh)およびFGF-8添加等の人為的修飾により、TH陽性細胞への効率的な分化誘導が可能であるか、免疫組織化学的検討を行ったが、現在の処、神経栄養因子添加群と血清添加群との間にTH発現に関して明らかな有意差を認めていない。細胞栄養因子の種類や添加時期、添加量等、少ない修飾操作にて神経上皮型幹細胞をTH陽性細胞へ最も効率的に分化誘導することが可能な培養条件を検討中である。
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