人工関節周囲の骨溶解の原因として人工関節から排出される摩耗粉に対する異物反応が上げられ、一旦発生すると多くは進行性で人工関節の弛みにつながり、再置換術が余儀なくされる。現在まで再置換術以外にはその治療法は存在しなかったが、本研究は骨吸収抑制又は異物反応を抑制する薬剤を用いてその治療法を確立するのが目的である。 現在基礎的研究として骨粗鬆症の治療薬であるビスフォスフォネート製剤を使用してマウス頭蓋冠を用いた骨溶解モデルでその抑制効果を検討している。現在までの結果では対照群に比較してビスフォスフォネート使用群では有意に骨吸収が抑制され、その有効性が確認されている。その成果は現在投稿準備中である。 また臨床的研究として人工股関節を施行した症例のうち、骨溶解症例に対するビスフォスフォネート製剤の有効性を検討する臨床研究をすでに開始している。この臨床研究は多施設(旭川医科大学、北海道記念病院、山形済生会病院、東京女子医大、東京厚生年金病院、九州大学、大分医科大学)で行っており、前向き研究でその有効性に期待される。
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