平成15年度 臨床上よく遭遇する欠損を伴う神経の修復に、この生体吸収性チューブを用いた欠損の補填ができるかどうか検討を加えた。 -実験(1)シュワン細胞培養生体吸収性チューブの作成- <方法>新生児ラットの後根神経節より採取したシュワン細胞を2週間培養し、生体吸収性チューブ内に播種する。その後さらに2週間にわたって培養しシュワン細胞播種生体吸収性チューブを作成した。 -実験(2)シュワン細胞播種生体吸収性チューブによる10mmの神経欠損部の架橋実験- 実験モデルはwhister系ラットの坐骨神経を用いた。ラットの下肢の大腿後面中央で10mm切除した後に以下の3群を作製した。 (1)シリコンチューブ群;断端間隙を12mmにして、シリコンチューブで架橋し神経断端を9-0nylonにて3針縫合した。 (2)ポリマーチューブ群;断端間隙を12mmにして、生体吸収性チューブで架橋し神経断端を9-0nylonにて3針縫合した。 (3)シュワン細胞播種ポリマーチューブ群;断端間隙を12mmにして、シュワン細胞播種生体吸収性チューブで架橋し神経断端を9-0nylonにて3針縫合した。 各群とも術後12週(各群n=10)で坐骨神経を採取し、チューブの縫合部より2mm末梢の横断切片を作製し、神経軸索数、軸索面積について各群間で比較検討を加えた。 【結果】シリコンチューブ群ではシリコンチューブの末梢横断切片において再生軸索は認められなかった。 しかし、ポリマーチューブ群においては末梢断端において再生軸索を認めた。またシュワン細胞播種ポリマーチューブ群ではさらに旺盛な神経再生を認めた。
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