骨軟部悪性腫瘍には多種多様な組織型が存在するが、全体として次の手法を用いると回収率、増殖率が良いことが分かった。まず生検・手術にて得られた標本を、酵素処理にて分散させ一部を抗癌剤感受性試験用に、残りを永久保存用とする。培地には10%fetal calf serumを加えたαMEMを用い、type I collagen(Cellmatrix Type I-C、新田ゼラチン)によりcoatingした96-well plate上で37゜、5%CO2で72時間培養する。感受性試験は、primary cultureにて抗癌剤を作用させ、効果判定にはMTT法に準じた方法を用いる。永久保存は10%DMSOを用いて液体窒素下に保存する。 現在、生検・手術で得られた標本(悪性線維性組織球症、骨肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫等)といくつかの細胞株(骨肉腫細胞株Saos-2、RCB0428、RIKEN Cell Bank等)を保存しており、時間経過とともに抗癌剤に対する感受性が変化するかどうかを検討している。まだ、経過1年までであるが、感受性及び細胞数に有意な変化は認めていない。 また、この抗癌剤感受性試験の結果を参考にして実際使用する抗癌剤の選択を行い、CT、MRI等による腫瘍塊の大きさの変化や摘出した組織標本の病理学的検査によって有効率を算出し、感受性試験との関連を調査している。現在のところ、感受性試験の感受性が高いもの程、有効率も高い傾向がみられている。
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