研究概要 |
関節リウマチの滑膜における細胞浸潤様式は多様で,Tリンパ球,Bリンパ球,マクロファージ,樹状細胞などの様々な免疫担当細胞が浸潤しており,時として二次性リンパ組織に類似したリンパ球浸潤様式が観察される.我々は,リウマチ滑膜炎をdiffuse synovitis, aggregate synovitis, follicular synovitis, granulomatous synovitisに分類し,その免疫学的な評価を行ってきた. 本研究では,過去10年間に当院で関節手術を受けた関節リウマチ患者の滑膜病理標本をretrospectiveに調査している.対象症例の総数は339例で,そのうち,滑膜病理標本が有用であったのは306例であった.306例中,Diffuse synovitisが106例,aggregate synovitis/follicular synovitisが138例,granulomatous synovitisが14例であった.現在は,aggregate synovitisとfollicular synovitisを分類するために,滑膜のパラフィン切片を用いてCD23染色を行っている. 次に,上記の各滑膜炎は,多関節罹患した患者で保たれているのか否かを調査するために,多関節手術を受けた症例の滑膜標本を分析した.同一患者で複数関節の滑膜標本が有用であった症例は126例であった.この中で,38例においては,diffuse synovitisとaggregate synovitis/follicular synovitisが混在していたが,88例では複数関節において同じタイプの滑膜炎が確認された. 引き続き,リウマチ患者を滑膜組織別に分類して,臨床的重症度との関連を調べる予定である.
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