研究概要 |
関節リウマチでは種々の免疫担当細胞が滑膜に浸潤し,主としてT細胞とB細胞により構成されるリンパ球集塊を形成することがある.リウマチ滑膜に見られるリンパ球集塊は,その中に濾胞樹状細胞を有するfollicular synovitisとそれを有さないaggregate synovitisに分類される.この二群の滑膜炎を免疫組織学的に比較検討した. アメリカリウマチ学会の関節リウマチの診断基準を満たす関節リウマチ患者23人,29関節の関節滑膜のパラフィン切片を使用した.滑膜の免疫組織染色(CD23)によりfollicular synovitis (F群)とaggregate synovitis(A群)に分類した.F群ではCD20陽性B細胞がその中心に凝集し,CD4陽性T細胞がそれを覆うように分布していた.このリンパ球集塊はリンパ節などの二次性リンパ器官にみられる胚中心に酷似した微細構造を形成していた.これに対してA群では,B細胞とCD4陽性T細胞が無秩序に分布していた.CD8陽性T細胞に関しては,両群ともにリンパ球集塊の周囲に散在するように分布していた.F群では主としてB細胞よりlymphotoxin (LT) βが産生されていたが,A群ではLTβ産生細胞は確認できなかった.新生血管の増生に関しては,二群間に有意差は認められなかった. 関節リウマチ滑膜に見られるリンパ球集塊は,胚中心に酷似した微細構造を有するfollicular synovitisとそれを有さないaggregate synovitisの二群に分類される.これらの滑膜炎は酷似した組織学上同じ様相を呈しているが,免疫組織学的には全く異なった範疇に分類された.
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