[目的]ラット一過性前脳虚血モデルを用いたミバゼロール(Miv)と低体温併用の脳内ノルエピネフリン濃度変化に対する影響を調べた。 [方法]雄SDラット28匹をハロタンで麻酔導入後に気管切開し、尾動脈(血圧測定用)、右頚静脈(脱血用)にカテーテルを留置した。頭皮に脳波電極、側頭筋に体温ブローベを挿入し、脳定位的にノルエピネフリン測定用マイクロダイアリシスプローベを海馬に刺入した。ラットを対照(C)(側頭筋温37.5℃、生理食塩水1ml/g)、Miv(M)(側頭筋温37.5℃、Miv 20μg/kg)、低体温(H)(側頭筋温35℃、生理食塩水1ml/kg)、Miv+低体温(MH)(側頭筋温35℃、Miv 20μg/kg)の4群(各群n=7)に分け、体温を所定の値に調節後、生理食塩水またはMivを虚血30分前に皮下注した。両側頚動脈閉塞と脱血による低血圧(収縮期圧45-50mmHg)により前脳虚血状態とし、10分後頚動脈閉塞解除と返血こより再灌流を行った。前脳虚血前、中、後の3回22分毎に灌流液を採取しノルエピネフリン濃度を測定した。会席は分散分析で行った。 [結果]全てのラットで前脳虚血開始により海馬ノエルピネフリン濃度は上昇し、再灌流開始により低下した。前脳虚血前値に対する虚血中のノルエピネフリン濃度(平均±標準偏差)はC群:1393±760%、H群:1289±398%、M群:500±295%、MH群:773±713%でありC群とM群、H群とM群間に有意差が認めらた。 [結論]Miv20μg/kgの虚血前投与は虚血による脳内ノルエピネフリン濃度上昇抑制効果を示したが、低体温単独療法は効果を示さなかった。またMivと低体温併用により、Mivの抑制効果が減弱した。
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