様々なストレスを動物に与えることによって、stress-induced analgesia (SIA)と呼ばれる鎮痛効果があることが報告されている。本研究ではラットを用いて、重力刺激が侵害刺激による引っ込め反射にどのような作用をもたらすか調べた。 30匹の135-140gのWistarラットを対象とした。ラットをランダムに1.0g、1.5g、2.0g、4.0gと2.0gNの3つのグループに分けた。フォンフライタイプの針で侵害刺激を与える8つの部位(鼻、両前肢、両後肢、背、腰、尾)を決定した。重力刺激を与える前に、全てのラットは引っ込め反射のベースラインの閾値を測定した。重力刺激は、1.0gグループでは遠心機に10分間ラットを入れたのみで回転させず、1.5gグループは98r.p.m.で、2.0gグループは116r.p.m.で、4.0gグループは165r.p.m.で回転した。4.0gN決められた8つの部位に針を当て、各部位の闇値を重力刺激後測定した。 ベースラインの引っ込め反射の閾値は、上半身で低くかった。コントロールである1.0gグループでは鎮痛効果はみられなかった。1.5gでは痛覚過敏にかることがあった。2.0gと4.0gでは鎮痛効果が認められ、20.gでは4.0gよりも効果が大きく、上半身で効果が大きい傾向にあった。 2.0gでは弓状核と室傍核にfos発現がみられ、2.0gNグループではナロキソン投与により鎮痛効果が完全に拮抗された。 以上より、重力ストレスにもSIAと呼ばれる鎮痛効果があり、内因性オピオイド機構が働いている。またこの効果はdose-dependentではなかった。
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