<背景と目的>これまでに敗血症と各種麻酔薬に関する研究を行い、麻酔薬の一部に抗炎症作用を有するものがあることを見い出し、敗血症時の鎮静薬として有用な麻酔薬を指摘している。近年、敗血症性ショックにおいて内因性マリファナであるアナンダマイドが早期に惹起され、ショックに大きく関与されていることが判明した。そこで、ラットを用いた敗血症性ショックモデルにおいて血中アナンダマイド濃度の変化を測定した。<方法>Wister系ラットを用いペントバルビタールを腹腔内投与することにより麻酔した後に、気管切開、動静脈路を確保し、15分程安定させた後にエンドトキシンを静脈内投与してショックモデルを作成する。経時的に循環動態、呼吸状態を確認し、サイトカインおよび、アナンダマイドを測定した。アナンダマイドは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定を試みた。<結果と考察>エンドトキシン静注後、ラットは5時間以内にショック状態に陥った。その時のサイトカインはTNF-alphaは2時間目をピークに上昇し、IL-6は上昇し続けた。しかしながら、アナンダマイドはHPLCを利用した測定では単一のピークを形成せず定量化することができなかった。そのため、エンドトキシン投与後にアナンダマイドが上昇するのかどうかさえ判明しなかった。今回の結果を踏まえ、アナンダマイドの定量をHPLCからGas chromatograph/Mass spectrometerによる測定法に変更し、検討していくつもりである。
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