研究課題
過去に当院で手術治療を行った膀胱癌患者の膀胱全摘手術標本から薄切切片を作成して、免疫組織染色法を用いて低酸素応答転写因子HIF-2α発現の有無をまず検討した。研究対象はHIF-2αが血管新生を亢進し膀胱癌の浸潤・転移に関与している可能性を検討するため、組織学的に悪性度が高く筋層浸潤を有する浸潤性膀胱癌とした。方法は、免疫組織学的手法で低酸素応答転写因子HIF-2αに対するポリクローナル抗体を用いて行った。検討の結果、低酸素応答転写因子HIF-2αが膀胱癌の浸潤部で高頻度に発現していることが判明した(Urology. 2002 May ;59(5):774-8.)。また、特に悪性度の高い膀胱癌では浸潤部にCD-68陽性のマクロファージが増加しており、さらにそのマクロファージに低酸素応答転写因子HIF-2αの強発現が認められることが判明した。以上の結果をもとに、次に低酸素応答転写因子HIF-2αの発現と生命予後との相関を解析した。膀胱全摘を受けた手術患者の各臨床的事項について解析を行ない、低酸素応答転写因子HIF-2αの発現との相関を検討した。その結果、低酸素応答転写因子HIF-2αの発現している膀胱癌患者では生命予後が不良である傾向が見られた。また、浸潤部マクロファージにおける低酸素応答転写因子HIF-2αの発現が高い膀胱癌ほど予後不良の傾向があり、低酸素応答転写因子HIF-2α陽性マクロファージが癌の進展に関与している可能性が示唆された(J Urol.2004 Mar ;171(3):1080-1084.)。
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Journal of Urology 171(3)
ページ: 1080-1084
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