(研究目的) 進行性膀胱癌の治療の大きな課題として、化学療法および放射線療法抵抗性の癌をいかに治療するかということがある。近年、遺伝子治療と放射線療法の併用療法の有用性が検討されている。今回、Cytosine Deaminase (CD)遺伝子を用いた遺伝子治療と放射線療法の併用療法における、細胞毒性と放射線感受性増強効果について検討した。 (研究方法) ヒト膀胱癌細胞、KK-47(P53 wt status)、T24(P53 mutated)、5637(P53 mutated)、を実験に用いた。アデノウイルスベクター、Ad-RSV-CDを各種細胞に50%の遺伝子導入効率を達成する各MOI(MOI : KK47;25、T24;125、5637;5)にて感染させ5-FCを添加し48時間後、放射線を照射し各細胞におけるIn vitro cytotoxicityを測定した。KK47細胞をマウスに接種し皮下腫瘍を作製しAd-RSV-CDの腫瘍内局所注射および5-FCを腹腔内投与し2日後の放射線を照射し抗腫瘍効果を検討した。 (平成14年度の研究結果) すべての細胞において放射線感受性および細胞増殖抑制効果の増強を認めたが、P53wt遺伝子を有するKK47細胞において最もそれらの効果が増強された。また、この併用療法によりKK47皮下腫瘍の約60%以上の腫瘍体積縮小を認めた。 (平成14年度の研究における結論) 膀胱癌に対するCD/5-FC遺伝子治療および放射線療法の併用療法の有用性が示唆された。
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