骨髄非破壊処置として何を用いるかが問題になるが、実際の臨床でも用いられている、ブスルファン、イフォマイドを用いた。ブスルファンのみでもキメラの形成が可能であったが、個々のレシピエントマウスでばらつきがあるため、両者を併用してみたところ、比較的安定したキメラを形成することができた。また、骨髄細胞の投与量も1X10^6個から2X10^7個まで検討したが、1X10^7個でもキメラ形成が可能であるが、2X10^7個の投与量が安定したキメラを形成できるため、この投与量を選択した。 皮膚移植片生着に関して、無処置B6においては全例が、10日以内にBALB/cの皮膚移植片を拒絶した(n=4)。これに対し、全ての処置をおこなったB6は6例中5例が移植後約100日間、BALB/cの皮膚移植片を生着可能だった。加えて、この全ての処置をおこなったB6において、third partyのCBA/Jの皮膚移植を行った群では、無処置B6と比較して延長効果はあるものの、全例が約70日以内にCBA/Jの皮膚移植片を拒絶した。このthird partyのCBA/Jの皮膚移植片を拒絶したマウスの末梢血中にもBALB/cの白血球が検出できることから、このプロトコールによってドナー特異的に免疫応答反応が低下していると考えられた。 副作用についてはブスルファン、イフオスファマイド投与によって、食欲低下や飲水低下に起因する体重減少が投与開始後5日間続いたが、その後は無処置のB6と同じレベルまで回復し、両者に統計学的な有意差を認めなかった。骨髄移植を行わなくても、同様な経過をたどることから、このプロトコールは骨髄非破壊的処置の一つでもあるといえる。
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