1.MHC、マイナー抗原の異なるマウスの組み合わせにおいて、抗T細胞抗体、抗腫瘍剤、ドナーの骨髄移植を投与することで、(1)全てを投与した群で30-60%のキメラ(ドナー細胞がレシピエント体内に混在する状態)を呈した。 (2)このキメラは抗体+骨髄移植、あるいは抗腫瘍剤+骨髄移植の群では認められなかった。 (3)キメラの内容としてはドナー由来のT細胞、B細胞、マクロファージが存在した。 2.MHC、マイナー抗原の異なるマウスの組み合わせにおいて、抗T細胞抗体、抗腫瘍剤、ドナーの骨髄移植を投与し、ドナー皮膚移植を行うことで、(1)全てを投与した群のマウス6匹中5匹において120日以上ドナー皮膚移植片の生着を認めた。 (2)全てを投与した群のマウス5匹においてドナーと異なるthird partyの皮膚移植を行うと全例が拒絶され、ドナーに対して免疫寛容が誘導されていることが証明された。 (3)移植後120日目のマウスにおいて胸腺中にもドナー細胞が認められ、末梢血中のドナー反応性のT細胞が消去されており、胸腺におけるドナー反応性T細胞のnegative selectionが起こっていると考えられた。 (4)ドナー、third partyに対する混合リンパ球反応を調べたところ、ドナー特異的に反応が低下しており、in vitroにおいても免疫寛容誘導が示唆された。 (5)この系における副作用の検討ではコントロール群と比較して、抗腫瘍剤投与後4日目までは有意な体重減少が認められたが、それ以降は差がなかった。 (6)ドナー由来のT細胞を認めるが、明らかなGVHDの所見はなく、移植後130日経過したドナー皮膚片も組織学的な異常は認められなかった。
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