研究概要 |
平成14年度は正常妊婦(20例)および妊娠中毒症妊婦(10例)末梢血よりFicoll-gradient法を用いて単核球を分離、さらに細胞接着性の相違を利用して血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells, EPC)の純化を行った。光学顕微鏡による形態学的観察では、得られた細胞は培養当初コロニーを形成、引き続いてコロニー周囲に紡錘形の細胞が増殖した。純化した細胞を4 chamber slidesに培養し、免疫細胞染色によるLDL uptake, UEA-1(lectin)染色を施行、二重染色された細胞を血管内皮前駆細胞とした。次にlaser scannerを用いて染色された細胞数をカウントし比較検討中である。また、24 well dishを用いたBoyden chamber法によってfilterを通過してきた細胞を染色、カウントし細胞移動性の検討を実施している。さらには同患者の血清中のVEGFその他の血管新生因子濃度と血管内皮前駆細胞数、移動性との関連を検討中である。平成15年度においては、前年の結果を総括、血管内皮前駆細胞の末梢血中への導入に関連する液性因子、アポトーシス関連因子、細胞運動性関連因子と細胞数、細胞運動性との関連性を検討する。さらに妊娠中毒症モデルマウスを用い血管内皮前駆細胞を純化、同定し高血圧、子宮内胎児発育遅延、子宮内胎児死亡との関連性を検討する。なお、これらの実験は東北大学医学部倫理委員会にてすべて承認されている。
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