1)Paclitaxel (Taxan製剤)を含む化学療法にて寛解導入療法を施行した卵巣癌103症例よりDNAおよびRNAを抽出し以下の実験の材料とした。 2)既知の癌抑制遺伝子であるp53の遺伝子変異をDirect Sequencing法にて検出した。上記卵巣癌103症例をPaclitaxel (Taxan製剤)を含む化学療法に感受性のあった群となかった群に分けて比較した。感受性のあった群は103例中68例(65%)であり、遺伝子変異が認められたのは44例(43%)であった。遺伝子変異の認められた群の84%、非遺伝子変異群の53%で化学療法が有効であり、有意にp53の遺伝子変異により化学療法の感受性に差を認めた。またp53遺伝子変異群の方が無再発生存期間および全生存期間が長かった。 3)癌遺伝子HER2およびAktの遺伝子増幅についての比較を定量的なRealtime PCR法で上記49症例において行った。これについても現在のところ、Taxan感受性群と非感受性群について有意な相違は検出できていない。 4)上記49症例において発癌のパラメータであるMicrosatellite Instabilityおよびその原因遺伝子の1つであるhMLH1の発現をそれぞれPCR法と免疫組織染色法にて検出した。これについても、Taxan感受性群と非感受性群について有意な相違は検出できなかった。
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