研究概要 |
細胞の分化を制御しているとされるNotch-1は悪性腫瘍において強い発現が認められるが未だその意義は不明である。正常子宮頚部組織でのNoch-1発現部位とHPV感染部位の一致することより頚部病変の癌化とNotchシグナル発現との関連か示唆されることより子宮頚部組織におけるNoch-1の局在を検討した。 組織切片上での検討 (1)正常子宮頚部上皮から前癌病変、浸潤癌と進行していく過程でのNotch発現態度の検討 浸潤癌組織型別のNotch発現態度を検討するため、患者同意の上、生検 手術より得られた子宮頚部扁平上皮組織(正常,CIN (I, II, III),頚部扁平上皮癌(微小浸潤癌、浸潤癌))を用い、抗ヒ卜活性型Notch1ウサギポリクローナル抗体を1次抗体として活性型Notch1蛋白発現を免疫染色法にて検討した。 正常組織において活性型Notch1蛋白は中層〜表層の細胞質に発現を認めたが、CIN(とくにCINIII)では正常頚部組織と比較して発現が低かった。非角化型扁平上皮癌においても発現は正常組織と比較して低かったが角化型扁平上皮癌、特に病巣中心部の角化傾向の強い部位では強い発現が認められた。 CIN、非角化型扁平上皮癌に比較して角化型扁平上皮癌において高い活性型Notch1蛋白発現が認められたことより活性型Notch1は子宮頚部上皮細胞の分化に関わる因子として作用している可能性が示唆される。 (2)HPVによる癌化プロセスとNotch1発現の関連性を検討する目的でHPV感染患者(これはすでにL1 PCR-RFLP法をもちいて検索済み)をHPV感染negahve群、HPV感染low risk群、HPV感染high risk群の3群に分け、検討しているが現在までの所、明らかな傾向は認められていない。
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