研究概要 |
1.LHは、生理的な排卵誘発剤であるが,広く臨床応用されているhCGと比較し,その産生効率は低く,高価であるため一般に使用される状況にない。recombinant LHの分泌効率が不良である原因として,LHβサブユニットのC末端における7個の疎水性のアミノ酸配列の存在が示唆されている。site-directed mutagenesisによりLHβ-C末端のアミノ酸残基を121から119,117,114位まて順次欠失させた変異体を作製し,CHO細胞において発現させた。各細胞を、^<35>S-システインにて標識し,免疫沈降反応にてLHβサブユニットの分泌動態を検討した。その結果,アミノ酸が2個欠失したLHβ119は,LHβと比較し,分泌効率が改善されることが示された。LHβ117,LHβ114についてもLHβと比較し,分泌効率が改善されることが示された。 2.LHβと高いhomologyを有するhCGβでは,アミノ酸残基26-110間のS-S結合形成過程がタイマー形成,分泌の律速段階であることが報告されている。LHβの26,110位のシステインをsite-directed mutagenesisによりアラニンに置換し,両者間のS-S結合を欠失させ,その分泌動態に及ぼす影響について検討した。その結果,LHβ26-110はLHβと比較し,分泌半減期が短縮し,単位時間当たりの分泌量が増加することが示された。 3.LHのα,β二つのサブユニットをコードする遺伝子をoverlap PCR法により結合させ,単一の遺伝子としたsingle chain LHをCHO細胞において発現させると,LHタイマーと比較しその分泌効率が向上する。LHβ26-110変異を、single chain LHにおいて導人すると,さらにsingle chain LHの分泌効率に改善することか示された。
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