卵巣腫大、腹水あるいは胸水の貯留、血液濃縮および循環血液量減少を3大症状とする卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome : OHSS)は排卵誘発剤の合併症として解決すべき重要な課題であり、その成因には不明な点が多い。今回我々、はラットに排卵誘発を施行した後、開腹して生体顕微鏡を用いてラット腸間膜微小血管を観察し、アルブミンの漏出や白血球の挙動を雌性ラットと比較検討した。ラット排卵誘発法に従い、月経周期第V期のウィスター系雌性ラットにhMG50単位、54時間後にhCG50単位を腹腔内投与した。ペントバルビタールにて麻酔した後、大腿静脈にカニュレーションしFITC-albuminを静脈内投与し、FITC-albuminの血管外への漏出を蛍光生体顕微鏡を用いてreal-timeで観察解析した。その後、透過光にて、白血球と血管内皮間の接着反応も観察した。卵胞期と黄体期のラット腸間膜微小血管でも上記と同様の観察を行った。排卵誘発した場合、腸間膜細静脈よりalbuminの漏出は卵胞期・黄体期に比較して有意に上昇し、白血球と血管内皮の接着反応も増加していた。細動脈でも排卵誘発時に軽度のアルブミンの漏出がみられた。また、黄体期は卵胞期に比較してalbuminの漏出が上昇していたが、白血球の接着反応には変化を認めなかった。ラットに排卵誘発を施行した場合、腸間膜微小血管よりalbuminの漏出がみられた。albuminの漏出には白血球一血管内皮間接着反応も原因の一部と考えられる。
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