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2002 年度 実績報告書

精子の機能障害による生殖不全機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14770859
研究機関熊本大学

研究代表者

竹田 直樹  熊本大学, 動物資源開発研究センター, 助手 (90304998)

キーワード精子 / 遺伝子改変マウス / Protamine / 鞭毛運動 / ミトコンドリア / haploinsufficiency
研究概要

本研究では生殖不全機構を解明するために、精細胞に特異的に発現し極めて特徴的であるDNA結合タンパク質Protaminel (Prm1)をES細胞を用いた遺伝子相同組換え技術により破壊した、Prm1KO遺伝子欠損マウスを作製し材料として用いた。
Prm1KOマウスの♂は、染色体の一方を破壊したヘテロの状態で、不妊となることが明らかとなった。ヒトではPrmの発現低下が不妊に関係しているという知見が報告されており、これらのことからその発現量を維持するためにPrm1遺伝子は両染色体に必要であると推測される。
Prm1ヘテロ変異♂マウスの精巣を組織学的に検討した結果、精巣及び精巣上体等はwildマウスと差違が見受けられなかった。しかし精巣上体尾部より精子を抽出しin-vitroでの観察の結果、ヘテロ変異♂マウスの精子はほとんど静止しており、鞭毛が動いている精子もその運動能は極端に低下していることが明らかになった。この事からヘテロ変異♂マウスの精子はそのほとんどが死んでいると考えられた。しかし細胞膜の変化をSYBRとPIの2重染色で行ったが、wildマウスとの差は見受けられなかった。これは先の運動能の消失とは相反する結果である。
精子は極端に機能化、分化した細胞であり、リボソームやゴルジ体などはないが、一方ミトコンドリアを大量に含んでいる。そこで鞭毛運動のエネルギー源であるミトコンドリアの活性を計測したところ、ヘテロ変異♂マウスではミトコンドリアの電位が低下している事が明らかとなった。
このようにPrm1はヒトの不妊疾患の解析モデルになりうると共に、DNA結合タンパク質がエネルギー生産系との関わりを示唆する興味深い結果が得られた。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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