研究概要 |
研究課題「ヒト妊娠期のエストラジオール 17-サルフェート代謝と各種疾患との関係を探る試み」の平成14年度における研究の結果、以下の点が明らかになった。 1.ヒトでのエストラジオール 17-サルフェート(ES)代謝の基礎実験として、ラット(メス)肝ミクロゾームによるその代謝実験を行った結果、主代謝物は6β-、7β-あるいは15β-OH-ESであることが判明し、その他に6α-OH-ESもわずかに生じた(Steroids,67,907-915,2002)。 2.二重標識体[6,7-^3H,^<35>S]ESを用いてラットin vivo代謝実験を行ったところ、メスにおいてin vitro(上述)と同じ部位の水酸化体が生じた。水酸化は、全て17位の硫酸根を保持したまま進行することも確認された(Steroids:受理)。 3.ヒト尿分析の前処理として、アルミナ(Al_2O_3)による抱合体の大まかな分離を検討したが、困難であることが分かり、グルクロニダーゼ及びサルファターゼで加水分解した後、17-サルフェート型エストロゲン画分を単離する方法を用いることとした。そのHPLC測定では、ラットin vitro実験(上述)で用いた一斉分離分析が可能となった。健常妊婦及び非妊娠女子の尿試料はボランティアより収集した。非妊娠女子の早朝第一尿を、黄体期と卵胞期に区分して採集した。現在、ヒト尿中ES及びその水酸化代謝物を分析中である。
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