研究概要 |
研究課題「ヒト妊娠期のエストラジオール17-サルフェート代謝と各種疾患との関係を探る試み」の平成15年度における研究の結果、以下の点が明らかになった。 1.ラットにおける[6,7-^3H,^<35>S]エストラジオール17-サルフェート(ES)のin vivo代謝の研究は、平成14年度に引き続いて行った。最終結果としては、大きな性差が認められ、特にメスでは遊離型エストラジオールとは全く異なる前例を見ない代謝経路が発見された(Steroids,68,383-392,2003)。 2.ヒト尿をβ-ダルクロニダーゼ(H-2型、含むサルファターゼ)で前処理後、17-サルフェート画分をHPLC分析し、ついでエーテル抽出し、水層とエーテル層に分け、それぞれをHPLC分析した。 3.HPLCでは、標晶化合物の一斉分離分析が可能となった。上記の水層では4-、6α-、6β-、7β-,および15β-OH-ESが、エーテル層では2-、7α-、16α-OH-ESおよびESの分離・定量法を確立した。 4.非妊娠女子の早朝第一尿を用い、水酸化代謝物を分析した結果、4-、6α-、6β-、7α-、7β-、15β-OH-ESおよびESが検出された。 現在、尿中LH値を基準として、月経周期を通しての上記代謝物の尿中量を調べているが、ESに見られたパターン(Steroids,52,123-136,1988)に近い周期的な変動が見られ、詳細に分析中である。
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