C型肝炎ウイルス(HCV)と、G型肝炎ウイルし(HGV)について、母子感染の視点から検討した。 1.妊婦のウイルス保有率 C型肝炎ウイルス(HCV) 0.7(9/1314)。 G型肝炎ウイルス(HGV) 0.6%(24/3738)。 2.出生児のキャリア化率 HCV 12.0% (13/108)。 HGV 67.0% (9/14)。 3.児のキャリア化 HCV 23.1% (3/13)。 HGV 0% (0/0)。 4.キャリア化児の肝機能異常 児のALT上昇(>110)を肝機能の指標として用いると HCV 66.7% (4/6) HGV 11.1% (1/9)。これはHCVとの混合感染児 5.母子感染と分娩様式 HCV、HGVいずれも帝王切開では母子感染は生じなかった。 以上より、母子感染率は、HCVと比較してHGVが有意に高く、キャリア児の肝機能異常は、HCVで有意に高く見られる事がわかり、同じフラヴィウイルスといっても母体保有率、母子感染率、児の予後において、大きな差異があることが解った。 またHCV母子感染の予防として帝王切開による分娩が考えられるが、母子感染率は12.0%であり、キャリア化児の脱キャリア化が見られること、帝王切開分娩による母体死亡が経膣分娩の8倍である事実を考え合わせると、母子感染予防だけのために選択的帝王切開とすべきではなく、産科的適応で決定されるべきものであると考える。同様に児の肝機能などへの影響のすくないHGVの感染予防に対しても帝王切開を選択すべきではない。
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