研究概要 |
本年度は、コンディショニング効果、及び強大音曝露後の鋭敏、かつ正確な聴覚生理学的解析のための測定機材のセットアップをまず行った。本研究の聴覚生理学的解析には経時的な複合活動電位(CAP)、耳音響放射(DPOAE)変化の測定が必要である。実験に用いるマウスのCAP及びDPOAEの反応はモルモット、ラットと比して小さく、鋭敏な測定システムが必須であった。申請時は記録解析システムとしてTucker-Davis Technologiesの聴性脳幹反応(ABR)測定装置の改良使用を考えていたが、National instrumentsのLabViewプログラム及びA-D, D-Aボードシステムの使用に加えて自作のプログラムを作成することにより、新たなデジタルシステムの聴覚機能測定装置をセットアップした。従来のTucker-Davis Technologies製の測定装置ではマニュアルで刺激音圧、周波数を変えており、長時間の測定ではマウスの全身状態が変わり測定結果の解釈が難しいという問題があった。この自作の測定装置により、およそ約半分の時間で繰り返し5.0から32kHzのCAP閾値及びDPOAEの反応を測定することができるようになり測定結果の精度を向上させることができた。 実際の測定により、CAP閾値およびDPOAEの入出力曲線をコンディショニング前後で測定してみると、コンディショニングによりCAP閾値には変化がないが、DPOAEの入出力曲線には増大していることがわかった。
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