アレルギー性鼻炎および非アレルギー性鼻炎に合併した鼻茸由来の線維芽細胞を使用した。鼻茸由来の線維芽細胞においてCCR3の発現の報告がなかったことから、PR-PCR、Western blotsにより検討した。さらにRANTES、IL-8の細胞外放出をELISAで測定した。さらに、アポトーシスの発現とこれら因子間の関連を線維芽細胞上でのBax、CAD蛋白発現を免疫組織染色で検討し、さらにアポトーシスの発現をTunel法を用い検討した。結果、鼻茸線維芽細胞でのCCR3発現を確認した。アレルギー合併症例ではRANTES刺激によりIL-8発現は増加したが、非アレルギー症例ではIL-8発現は増加しなかった。また、IL-8による刺激では、アレルギー症例でRANTES発現は増加したが、非アレルギー症例では増加しなかった。RANTESを添付すると鼻茸線維芽細胞はアレルギー症例で有意に増殖を示したが、非アレルギー症例では増殖は認めなかった。また、アポトーシスとの関連を検討した。免疫染色の検討では、鼻茸線維芽細胞上にはBax、CADの発現は認めるものの、アレルギー性鼻炎合併群と非アレルギー群の間には差は認めなかった。さらに、鼻線維芽細胞上でのアポトーシスの発現をそれぞれ検討したが、アポトーシス細胞の発現率に有意な差を認めることは出来なかった。以上よりアレルギー合併では線維芽細胞自体にCCR3を介したIL-8とRANTESのオートクライン効果、相乗効果が存在すると考えられ、それにより鼻茸形成などのアレルギー炎症の遷延化、難治性鼻茸症例の一因となっていると考えられる。さらに、難治性鼻茸を積極的に制御するために、Bax、CADを遺伝子導入しアポトーシス誘導を検討したい。
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