序説:禁煙増加するストレス病症例においては、生体リズム障害がその背景因子として存在する可能性がある。メニエール病においても、その発症には時刻関連性が示唆されており、その発症メカニズムに生体リズム障害の関与が考えられる。そこで、日内リズムの表現型であるメラトニン(松果体ホルモン)を用いて検討した。方法:対象はメニエール病症例13名である。6、9、12、17、21、23時において、唾液を専用容器を用いて採取した。測定にはRIAkitを用いて、唾液中タンパク濃度に対するメラトニンの相対的濃度を測定した。また、single cosinor法を用いて、24時間における平均値、振幅、頂点位相を計測した。また同時に、ストレススコアー、睡眠時間、起床時聞などを質問表によりアンケートした。結果:平均値は0.8±0.3pg/mg、振幅は1.0±1.2pg/mgで健康成人群(3.1±2.4、4.7±1.0)に比べて、有意に低かった。頂点位相は23.2±3.4hrで、健常成人群(25.9±1.9hr)に比べて、2群で有意な差はなかったが、その分散は有意にメニエール病群で大きかった(P=0.04)。聴力レベル、CP%、ストレススコアーなどとメラトニン濃度との間に有意な相関は見られなかった。考察:メニエール病症例においては日内リズム障害、とくにpineal circadian irregularityが存在する可能性が示唆された。
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