研究概要 |
平成14年度はまずシスプラチン、5FUについて研究を行った。<5FU耐性株の作製>(対象と方法)頭頸部癌細胞株UM-SCC-6に5FU120ug/mlを繰り返し暴露することで耐性株作製を行った。(結果と考察)元の細胞株UM-SCC-6の発育阻止率50%値(I.R50)は0.4uMであった。しかし4度暴露後生存細胞株、UM-SCC-6R (Rはresistantの意味)のI.R50は0.8uMと倍の濃度に上昇した。次年度はさらにシスプラチン、ドセタキセルで耐性株を作製する予定である。なお、UM-SCC-6、UM-SCC-6Rを比較することで既存の5FU耐性因子を確認し、さらに未知なる耐性因子を探求していくことが可能となると思われる(平成15年度施行予定)。<頭頸部がん手術時摘出組織の抗癌剤感受性試験>(対象と方法)平成14年12月10日以降の愛知県がんセンター頭頸部外科で手術を行った症例のうち15症例でHDRA法による5FU、シスプラチンの感受性試験を行った。(結果と考察)発育阻止率50%値(I.R50)以上の症例を感受性群とすると、5FUでは15症例中8例が、シスプラチンでは15症例中4例が感受性群となった。今後症例数を増やし、さらに化学療法施行前組織の感受性を測定し、実際の効果判定との関連を調べていく予定である(平成15年度施行予定)。<手術時摘出組織、細胞株におけるTS,DPDのリアルタイムPCR法を用いた発現解析>(対象と方法)手術時摘出組織21検体と4つの細胞株からRNAを抽出し、TS,DPDの発現をリアルタイムPCR法を用いて行った。(結果と考察)TS,DPDともGAPDHをコントロールとして解析した。TS,DPDとも発現量と感受性試験の間には有意な関連性は認められなかった。今後さらに症例を増やし検討を加える予定である(平成15年度施行予定)。
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