内リンパのイオン組成に対するエストロゲンの影響を調べ、それによって起こる内耳障害の影響について調べた。また、人工的に内リンパ水腫を作成し、前庭機能に与える影響を調べた。 1、エストロゲン欠乏状態での蝸牛膜電位の変化 C-57BLマウスのエストロゲンレセプターノックアウトマウスを用いて、蝸牛内膜電位の変化を調べた。 正常の8週齢のC-57BLマウスの平均蝸牛内膜電位の平均は108mV、ノックアウトマウスの平均は112mVと両者に有意な電位の差は無かった。 老齢マウスに関しては両者に蝸牛膜電位差がある可能性あり、今後検討の予定である。 2、内リンパ水腫による前底系の影響 有色モルモットを用いて、手術で内リンパ嚢を閉塞し、メニエール病のモデルとなる内リンパ動物を作成する。モルモットの前庭機能評価のため、暗所で振子様回転刺激を与え、前庭眼反射(VOR)を測定した。内リンパ嚢作成2週目にVORは有意に減少し、以後は回復傾向にあった。さらに内リンパ作成2週目回転刺激後に、メニエール病の発作期と同様の内リンパ水腫作成側に向かう眼振を認め、3週目以降にメニエール病の回復期と同様の反対側に向かう回転刺激後眼振を認めた。 この結果から、当モデル動物と検査方法でメニエール病の病態解明の手がかりを得られる可能性があると考えた。 薬剤投与による内リンパ水腫抑制効果と、それに伴うVOR gainの変化を今後検討したい。
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