研究概要 |
1985年から2000年にかけて当科にて治療を受けた頭頸部癌症例について、まず、上顎洞癌、咽頭癌、喉頭癌に整理し、放射線化学療法を行った症例をまとめ、治療成績について比較検討し、考察を加え、論文の作成を行った(当科における上顎洞癌の治療成績 耳鼻と臨床48(1):34-37 2002、中咽頭癌の治療成績 -側壁型を中心として-耳鼻と臨床48(2)87-94,2002、CO2レーザー手術を組み入れた喉頭癌の治療成績 喉頭14(1)15-20 2002)。さらに、喉頭癌のCO2レーザー治療に放射線化学療法を組み合わせた治療の検討については、6月末にオスロにて開催されたUICC国際癌学会において発表も行った(M.Sawatsubashi, A.Inokuchi, J. Fukaura, S.Tokumaru, T.Shin : CO2 laser surgery and radiotherapy in combination for early glottic carcinoma. 18th UICC International Cancer Congress, Oslo-Norway 30 June-5 July, 2002; Int J Cancer 2002 (suppl 13):255)。 現在、これまでの臨床統計を基に、上顎洞癌、咽頭癌、喉頭癌別にそれぞれ、放射線化学療法の効果について細胞外器質の変化に注目して、再発因子、血管新生因子を中心に病理組織学的な検討を行っている。具体的にはHE標本を基本にし、免疫染色を行なっているが、必要であれば蛋白だけでなく、mRNAの形態学的な検討を加えたいと考えている。我々がHE標本、免疫染色の検討に重点をおいているのは、臨床応用が早期に可能で、癌の治療成績向上に寄与するとの信念からである。これら結果がまとまり次第、順次、学会発表、論文の作成を行う予定である。
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