平成14年度は、花粉症特異的メモリーT細胞における生存、延長機構の解明を目的に、T細胞クローンのエピトープ解析を施行した。 最初に、樹立したヒトのスギ、ヒノキ花粉症特異的T細胞クローンST12について解析した。T細胞クローンST12は、CD3^+、CD4^+、CD8^-、TCRα/β^+で、スギ主要アレルゲンCry j 1とヒノキ主要アレルゲンCha o 1に反応を示した。Cry j 1もしくはCha o 1の刺激により、ST12はインターロイキン4を産生したが、インターフェロンγは産生されなかった。このドナーのHLA class II genotypeはDRB1^*0405/0409、DQA1^*0302、DQB1^*0301であった。 Cha o 1オーバーラッピングペプチドを作製し、ST12が認識するT細胞エピトープの解析をおこなった。ST12はGHSDIYSDDKSMKVTV(202-217のアミノ酸配列)に反応を示した。Cry j 1についても同様に行い、GHDDAYSDDKSMKVTV(202-217のアミノ酸配列)に反応することが確認された。 次に、GHSDIYSDDKSMKVTVのaltered peptideを作製し、アンカー部位について調べた。そして、K214、V215、T216が反応において重要なペプチド(アンカー)であることが判明した。さらに、これらのアンカーがT細胞サイトのアンカーであるか、APC(抗原提示細胞、MHC)サイトのアンカーであるか、FACScanを用いて調べた。その結果、^<216>TはAPCサイトのアンカーであることが示唆された。 T細胞エピトープを調べるこれらの研究成果は、将来のペプチド治療に応用できるものである。平成15年以降はスギ、ヒノキ花粉症特異的メモリーT細胞の生存、延長を阻止するアナログペプチドの開発を目的に、T細胞抗原記憶機構の解析をしていく予定である
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