研究概要 |
NKT細胞は免疫反応の要所に活躍する細胞で、自己免疫疾患の抑制へ関わりが示唆されている。今回我々は、自己免疫性ぶどう膜炎の発症への関与を明らかにするため、マウス実験的自己免疫性網膜ぶどう膜炎(EAU)においてNKT細胞の役割について検討した。 CD1ノックアウト(CD1KO)マウス、Ja281ノックアウト(JaKO)マウスはいずれもNKT細胞の機能が失われたマウスである。C57BL/6(ワイルドタイプ)とCD1KOマウス、JaKOマウスをヒト視細胞間結合レチノイド蛋白ペプチドで免疫してEAUを惹起したところ、ワイルドタイプに比べて、CD1KOマウス、JaKOマウスいずれにおいても優位にEAUの重症化がみられた。また、NKT細胞を活性化させるリガンドとして知られるalpha-garactoceramide(aGalCel),またはaGalCel由来のNKT細胞を選択的にTh2タイプへ活性化させる合成糖脂質(OCH)を投与することによるワイルドタイプのEAUの抑制について検討した。ところがaGalCelの投与、OCHの投与を行ってもEAUの抑制はみられなかった。 以上のことから、NKT細胞はEAUの発症抑制に関与していると考えられるが、NKT細胞を積極的に刺激活性化しても自己免疫疾患であるEAUの抑制はできないことが示唆される。
|