1.ラット網膜より、グリア細胞を単離して、形態的特徴と免疫組織学的手法にてグリア細胞であることを確認し、グリア細胞表面のグルタミン酸トランスポーターの発現変化を免疫細胞染色で検討したところ、本来網膜組織には存在しないとされていたグルタミン酸トランスポーターのサブタイプ(EAAT4)の1次抗体で染色がみられた。これまでの報告は組織における免疫染色の結果であり、培養細胞ではそのグルタミン酸トランスポーターが発現している可能性がある。今後網膜組織の染色とWestern blotting法にてその仮説を検討する予定である。またグルタミン酸トランスポーターのmRNA発現をRT-PCR法で検討したところ、3種類のサブタイプにおいて、培養開始から6時間の細胞のほうが、48時間の細胞よりもmRNA量が多かった。この結果もこれまで報告がないことであり、この点についてはreal-time PCR法にて定量的に検討する予定である。 2.今後の計画としては、網膜グリア細胞を20%酸素、5%C02をコントロールとして、種々の酸素濃度の環境で、培養し、その形態的変化と生存状態を観察し、いくつかの培養条件下で、経時的にグリア細胞を培養した後に、mRNAを抽出し、グルタミン酸トランスポーターの各サブタイプについてreal-time PCRを行い、mRNA量の慢性虚血環境下で変化を検討する。また、ラット網膜神経細胞とグリア細胞との共培養系を確立し、培地中のグルタミン酸量やNO量、TNF-αなどの変化を検討する。
|