研究概要 |
ラット培養網膜ミュラー細胞を用い、各種グルタミン酸トランスポーター(GLT)の発現を検討し、ミュラー細胞の成熟状態の違いや低酸素負荷時におけるGLTの発現変化をmRNAおよび蛋白レベルで検討した。既報に準じ3日齢のSprague-Dawley系ラットから網膜ミュラー細胞を単離した。報告されている各種GLT-mRNAのミュラー細胞における発現は、reverse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)で、蛋白の発現は、Western blot法ならびに免疫染色法にて行った。継代6時間後の増殖期とコンフルエント状態にあるミュラー細胞を用い、成熟状態によるGLT-mRNAの発現変化を、5%,20%酸素下における培養によって低酸素負荷によるGLT-mRNAの発現変化をreal-time PCR法を用い検討した。その結果、培養ミュラー細胞においてGLAST,GLT-1,EAAC1の3種類のGLTの存在がWestern blot法、免疫染色法、ならびにRT-PCR法で確認された。GLAST-mRNAは酸素濃度や細胞増殖期の違いによる発現変化は認められなかったが、GLT-1-mRNAは低酸素培養や増殖期では発現が増加する傾向にあり、EAAC1-mRNAは低酸素状態では軽度の増加を示したが、増殖期では著明な増加が認められた。結論として、培養網膜ミュラー細胞におけるEAAC1の発現が今回初めて確認され、さらに細胞増殖期にEAAC1-mRNAは著明に発現していることがわかった。 この研究結果については平成16年4月の日本眼科学会総会及びAssociation for Research in Vision and Ophthalmologyにおいて演題発表予定である。(演題採択済み)
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