研究概要 |
眼虚血疾患は失明原因として主要な割合を占める網膜・視神経変性疾患であり、代表的な例として緑内障や糖尿病網膜症がある。本研究では眼虚血疾患における血管内皮機能を制御する分子機構を解明し、これを制御することにより、全く新しい眼虚血疾患の治療法の開発を目指している。 近年我々が確立した網膜虚血再灌流後や糖尿病網膜症の網膜微小循環における白血球動態観察法を応用し、血管内皮における血小板の動態、それに伴って観察される白血球動態、それに引き続く眼組織や細胞浸潤という病態をラット網膜虚血再還流において検討し、抗血小板抗体によって血小板の機能を阻害することにより細胞浸潤が抑制されること、血小板が虚血再還流において重要な役割を果たしていることを明らかにした(Nishijima et al.,2004)。また、昨年度からの研究成果に引き続き、白血球の移行に関連する新しい分子を探索し、新しい接着分子であることが解明されているLOX-1が虚血や酸化ストレスの影響が検討されている脈絡膜新生血管において発現が上昇しており、病態に関与している可能性があることを明らかにした(Honjo et al.,in press)。本研究は新しい眼疾患治療概念の発展につながると考える。
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