研究概要 |
1:マウスでの実験 ヒトinterphotoreceptor retinoid-binding protein(IRBP)1-20ペプチドをC57BL/6マウスに免疫しexperimental autoimmune uveitis(実験的自己免疫性ぶどう膜炎,EAU)を誘導した。EAUマウス由来NKT細胞を脾臓および末梢血から分離した。マウスNKT細胞は抗NK1.1抗体を用いた磁気細胞分離システムを用いて分離した。その産生するサイトカイン・ケモカインを細胞内タンパク染色&フローサイトメトリー,RNAse protection assay,real-time PCRで解析しTNFα,IFNγなどの炎症性のサイトカインを産生していた。また同様の方法で正常マウスからNKT細胞を分離し、試験管内で免疫抑制性のサイトカインであるTGFβと共培養した。この結果IFNγの産生低下が観察されたが、IL-4,IL-10の産生は変わらなかった。マウスEAUはIFNγ産生T細胞が誘導に重要な役割を果たすため、TGFβと共培養したNKT細胞をマウスに移入することで抑制可能と考えた。1×10^5個の培養NKT細胞をマウスに移入したところ、発症のonsetは不変だったが、病勢が最大となる16日目で、有意なEAU臨床スコアの抑制が認められた。 2:ヒトNKT細胞の分離、解析 我々は正常人末梢血から白血球のみ分離し、試験管内でNKT細胞のリガンドであるα-ガラクトシルセラミドで繰り返し刺激することでNKT細胞を増殖させた(平均10継代)。さらに精製分離したNKT細胞を、IL-15およびIL-2と共培養し治療に使える数まで増やした。 マウスと同様にTGFβと共培養したところ、やはりα-ガラクトシルセラミド刺激に対するIFNγ産生能の低下を認めた。マウスでの実験結果から、このIFNγ非産生NKT細胞が、ヒトぶどう膜炎を抑制する可能性が示唆された。
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