自然発症糖尿病モデル動物としてOLETF (Otsuka Long-Evans Tokuskima Fatty)ラットを用いた。OLETFラットでは網膜内に白血球が捕捉されていることが明らかになっている。今回、そのOLETFラットで、まず接着分子intercellular adhesion molecule (ICAM)-1およびP-selectinの局在を調べた。生後72週のOLETFラット4匹および対照として性別・週数をあわせたLETO (Long-Evans Tokushima Otsuka)ラット4匹を用いた。眼球を摘出した後、網膜を取り出し、抗P-selectin抗体(APR2-3)および抗ICAM-1抗体(1A29)を用いてウェスタンブロッティングをいった。また眼球を4%パラホルムアルデヒドに固定しパラフィン包埋した後、sABC (Streptoavidin Biotin Complex)法により免疫染色を行った。ウェスタンブロッティングではどちらのラットにおいても、P-selectin(約140kD)、ICAM-1(約90kD)のバンドを認め、OLETFラットに多く発現していた。免疫染色では、OLETFラットの網膜血管内皮でP-selectin、ICAM-1とも強く染色されたが、LETOラットの網膜血管内皮では、染色性はほとんど認められなかった。P-selectin、ICAM-1ともにOLETFラット網膜で上昇していた。P-selectin、ICAM-1はOLETFラットでの網膜細小血管症の病態において重要な役割を果たしている可能性があると考えられた。
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