羊膜をキャリアーとして用いた培養ヒト角膜内皮細胞(C-HCEC)シートを作成し、その形態および生体での機能を検討した。継代したC-HCEC(47歳、P5)を用い、上皮剥離した羊膜上に6.0×10^3cells/mm^2のC-HCEC浮遊液を播種し、37℃ 5%CO_2で2週間培養した。作成されたC-HCECシートは光学および電子顕微鏡にて形態を調べた。また、白色家兎を用いこのC-HCECシートの移植を行った。コントロールとして上皮剥離した羊膜のみを移植し、術後より前眼部所見の観察、角膜厚の測定を行った。羊膜上の角膜内皮細胞は3340cells/mm^2の細胞密度で扁平かつ多角形で、互いに密に連続する角膜内皮層を形成していた。生体への移植実験では、コントロール群では著名な角膜浮腫が認められたが、C-HCECシート移植群では浮腫は認められず、角膜の透明性も保っており、角膜厚も著明に薄かった(p<0.05、術後7日、C-HCEC群:974.0±26.1μm、コントロール群460.7±117.7μm)。羊膜をキャリアーとして実際の角膜に近い細胞密度、形態のC-HCECシートを作成した。このシートを用い、生体内に移植した角膜内皮細胞は機能していることが示唆された。角膜内皮疾患に対するC-HCEC移植の可能性、そのキャリアーとしての羊膜の可能性が今回の検討によって示唆された。
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