8番染色体長腕q23にマップされている慢性型開放隅角緑内障の原因遺伝子の同定のため、昨年度に引き続き網羅的遺伝子同定を進めるとともに、緑内障患者DMを用いてマップした領域内の全遺伝子の変異検索を試みた。 同疾患原因遺伝子の候補領域(DNAマーカーD8S556からD8S522)をカバーする10Mbの塩基配列に対し公共データベースを用いたホモロジー検索、フグゲノム、マウスゲノムとの比較、およびコンピュータプログラムによるエキソン予測などを駆使して解析を行い、新規遺伝子に対しては非翻訳領域を含む全長構造決定とともに発現プロファイル解析等を行った。その結果、新規遺伝子を含む25個の遺伝子の存在を本領域に確認することができた。特に新規に発見されたPKHD1L1およびCSMD3はそれぞれエキソン数が約70の巨大遺伝子であった。これら2つの巨大遺伝子を含む25個の遺伝子のエキソン・イントロン構造を解析し、得られた位置情報を元に全エキソンを増幅する約300セットのプライマーを設計した。また、エキソン長が300bpを超えている場合には、分割してプライマーを設計し、それぞれが300bp程度になるように調節した。これらのプライマーを用いて米国との共同研究により同領域内に原因遺伝子がマップされている緑内障患者DNAに対して変異検索を行った。その結果多数のSNPsの存在が確認され、複数のSNPsにおいてアミノ酸置換が確認できた。しかしながら現在、これらのSNPsと緑内障との関連性は見いだされていない。
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