2日齢二分脊椎及び正常発生ヒヨコにおける脊髄奇形領域における神経細胞のヒストグラム解析 正常発生例(手術未適応例)の2日齢ヒヨコ脊髄の細胞断面積と細胞数のヒストグラムをNissel染色した連続切片から作製したところ、ニワトリ腰随節領域の神経細胞は300μm^2以下あるいは、300μm^2を越える断面積をもつ神経細胞の二区分できることがわかった。これに従い、胸随節から腰随節にかけて二分脊椎を持つヒヨコ5例と正常発生ヒヨコ5例の第3腰随節神経細胞のヒストグラムを作製し、神経細胞を区分した。この結果から300μm^2を越える断面積を与えた大型神経細胞数は両者の間に違いはみられなかった。一方、300μm^2より小さい細胞断面積を与えた小型神経細胞は未処置例に比べて二分脊椎例で減少していた。この結果は、我々のニワトリ二分脊椎モデルにおいて大型神経細胞数である運動神経細胞よりも中・小型神経細胞である介在神経細胞の発生に脊髄奇形による影響が強く顕れていることを示唆していた。 免疫染色所見 これまでに脊髄介在神経細胞は、D1・D2・D3のサブクラス分類できることが報告されている。そこで、D2介在神経細胞に陽性反応を与える抗Islet-1抗体を用い、6・9・12日目の二分脊椎及び、正常発生ニワトリ胚の腰部脊髄の免疫染色を行った。この抗体はD2介在神経細胞以外にも、後根神経節細胞・運動神経細胞に陽性反応を与えるが、これらの細胞の染色動態は、二分脊椎例と未処理例との間に違いはみられなかった。一方、これまでの報告と同様、介在神経については未処理例の脊髄中間帯領域の介在神経細胞に陽性反応を与えたが、6・9日目の二分脊椎例では、脊髄中間帯領域に陽性細胞を認めることが出来なかった。また、12日目の二分脊椎例では陽性細胞が中間帯領域に認められるが、その数は未処理例に比べて少なかった。 これらの結果から、脊髄が開裂することによって介在神経細胞の発生障害が顕起されている可能性が示唆された。
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