研究概要 |
平成15年度の研究:昨年度(平成14年度)の研究において、無血清単離毛包培養法(実験系(1);注1,参照)を確立出来ていたので、この実験系を用いて毛包発生過程で発現するラミニンアイソフォームの同定を行った。ラミニンはα、β、γの3本差からなるヘテロ3量体分子であり、現在までのところαには5種、βには3種、γには3種のアイソフォームの存在が知られている。アイソフォーム特異性抗体を利用した免疫組織化学的手法により、マウス毛包などの器官発生過程の各stageで発現するアイソフォームとその局在をin vivoおよび実験系(1)を用いてin vitroで同定中である。今年度までにstage3-5におけるα1、β1、γ1の局在を免疫組織学的に同定した(実験系(2))。 (2)の結果(毛包形成の各ステージにおけるアイソフォームの局在)をふまえて、(1)の実験系を用いて胎生期毛包を器官培養し、各ステージにおけるラミニンアイソフォームの発現をRT-PCR法を用いることによって蛋白レベルにおいても明らかとし、また各stageにおけるその発現量の違いについて調査を行った。現時点では各ラミニンのプライマーの設計および予備実験を行っている段階で結果についてはこの研究の今後継続していく必要がある。注1.毛包の器官培養系では胎児マウス等の上顎の髭部分を一塊として使用する実験系が報告されているが、起こり得る現象を捕らえやすい半面、定量的な分析がしづらいという欠点があった。申請者らは昨年度の研究において、胎生13日目マウスの毛包を1個ずつ分離して単独に器官培養を行う実験系を確立し、毛包の長さなどを測定することで効果を定量的に分析することを可能としている。また従来の毛包培養系では培地に牛胎児血清が添加されているが、血清に含まれる未知の成長因子の影響を出来るだけ排除できるよう無血清実験系を確立した。
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