研究概要 |
研究の概要: メラノサイト系細胞に特異的に発現する遺伝子dopachrometautmeraseをLacZで標識した遺伝子変換マウス,strain Dct LacZを用いて色素細胞の皮膚内、頬髭毛包内における分布、毛周期によるその数や分布の変化を観察し,色素細胞の幹細胞であるメラノブラストの局在について組織ごとに検討した。 研究方法: 頬髭毛包は最大で長径2mmと極めて小さいため、その採取はマイクロサージャリー用の手術顕微鏡下で行い、カプセルを除去するために実体顕微鏡下で毛包のmicro dissectionを行った。この操作は組織培養液内で行い、細胞のviabilityを維持するように留意した。毛包や細切した皮膚はLacZ染色(24hr、37℃ インキュベート)を行い、固定後組織切片の作製、whole mountの作製により色素細胞(メラノサイト)を同定した。メラノサイトはケラノサイトと同じタイプの細胞接着分子(E, P-cadherin)の発現パターンを持つため、ケラチノサイトと共に毛包内、表皮基底内を遊走しているものと考えられ、頬髭毛包を用いてメラノサイトの分布と毛周期との関連を調べた。 研究結果: メラノサイト系細胞はsub-bulgeに毛周期を通じて恒常的に存在し、退行期から休止期にかけて活発に分裂しながら毛母に向かつて遊走していることが確認された。また樹状突起を持ち成熟メラノソームを有したメラノサイトは毛母にのみ存在していた。さらにsub-bulgeに存在するLacZ陽性細胞はdopa陰性であり、機能的にも形態的にも未分化なメラノサイト系細胞の幹細胞であるメラノブラストであることが実証された。
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