オステオポンチン(OPN)は骨マトリックスタンパクとして骨改造現象に、また、腎炎や腎結石の形成にも関与している。我々はマウス唾液腺にOPNが発現していることをRT-PCR法およびウエスタンプロット法で明らかにしてきた。本研究では唾液腺におけるOPNの生理的機能の解析を目的として、正常および自己免疫疾患モデルマウスを用いてリアルタイムRT-PCR法およびウエスタンブロット法による発現解析と免疫組織化学法による局在の検索を行った。 これまでに耳下腺、舌下腺、顎下腺でmRNAの発現を明らかにし、耳下腺および舌下腺に分子量6万の、顎下腺に分子量3万の抗OPN抗体陽性タンパク質を検出した。マトリックス金属プロテアーゼ(MMP)-3/7で切断されたOPNの分子量は3万を示す。同じ抗体を用いて、免疫組織化学法で局在を検索したところ、OPNは耳下腺および舌下腺の腺房細胞の腺腔膜側に発現が認められたが、顎下腺では非常にシグナルが弱かった。また、顎下腺にはMMP-7が発現していることもウエスタンブロットにより確認された。このことより、顎下腺ではOPNがMMP-7による分解を受けている可能性が示唆されるが、分子量3万の抗OPN抗体陽性タンパク質がOPN由来であるか明らかにする必要がある。 自己免疫疾患モデルマウスでのOPNの発現解析の結果、MRL/lprマウスの舌下腺でmRNAの発現量が他の系統のマウスと比べて低下していた。顎下腺では大きな変化は認められなかった。ところが、各マウス間でのタンパク質の発現量の差はウェスタンブロットでは検出できなかった。次年度以降、局在も含めた検討を行う予定である。
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