研究概要 |
本研究の最終目標を達成するため,平成14年度ではL-バンドin vivo ESRによるラジカルの検出と画像化を実験の柱として実験・検討をおこなった。我々はすでにニトロキシドラジカルスピンプローブの全身分布をL-band ESRで計測することに成功しており,この手法を口腔・顎顔面領域に外挿しESR計測条件を検討し,新しい知見を得た。さらに,顎関節症ラットモデルを用いた検討において,スピンプローブクリアランス速度に有意な差があるという知見も得ている。これは,顎関節部位における酸化ストレスの亢進が考えられ,L-band ESRによる酸化ストレス評価の可能性を示唆した。その他,高血圧自然発症ラット,老化マウスモデル等におけるクリアランス変化についてもいくつかの知見を得た。これら病態発症に活性酸素・フリーラジカルが関与していることが多くの研究者により報告されているが,今回我々の実験結果はその裏付けとなるものと確信している。これら知見をもとに,ESR imaging実験へと移行した。実験は同一実験条件下で,さらに磁場勾配を与えスペクトルデータに位置情報を加える。得られたスペクトルデータをコンピュータ処理し,ニトロキシドラジカル口腔内分布の3次元画像化を試みるものである。平成14年度では,顎関節部のESR imaging(ラジカル分布画像化)をはじめとしたスピンプローブの顎顔面分布領域の画像化に成功した。そのほか,摘出脳実験でのラジカルクリアランスの画像化にも成功している。平成15年度では,新規スピンプローブの応用,また,spin trapping手法によるESR imagingに着手する。また,ESR imaging解像度の向上を含めたESR imaging装置の開発,改良も同時に行い,口腔・顎顔面領域における活性酸素・フリーラジカルのin vivo計測と3次元画像化を確立する。
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