研究概要 |
骨関連細胞は,受容体を介する刺激だけでなく,pH,温度,メカニカルストレスなど物理化学的ストレスなどの微細環境の変動に応答するシステムを合わせ持つことが知られている.我々は,ラット正中矢状縫合部への伸長力により,同部に存在する骨芽細胞様細胞の増殖活性とIGF-I産生が増加することを見いだした.さらに,IGF-I受容体も骨芽細胞様細胞に存在していることが確認されたことにより,メカニカルストレスにより産生が促進されるIGF-Iのオートクライン作用が,骨芽細胞様細胞の増殖活性に影響を与えることを示唆するとともに,骨芽細胞にメカノセンサーとしての構造が存在することが疑われた. そこで,IGF-Iのオートクライン作用が骨代謝に与える影響を調べる目的で,IGF-I遺伝子を形質導入したCHO細胞とMock遺伝子を形質導入したCHO細胞を,それぞれヌードマウスの頭頂骨骨膜上に移植したところ,IGF-I遺伝子を形質導入したCHO細胞移植群では,移植2週後に頭頂骨表面に添加性の類骨が認められ,その周囲に存在する骨芽細胞には,強いALP陽性反応がタンパクレベルで確認できた. 現在は,骨芽細胞に存在すると考えられるメカノセンサーを検索する目的で,骨芽細胞に存在するイオンチャンネルの種類や機能について詳細な検討を行っている.
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