研究概要 |
早期増殖応答タンパク質(Early Growth Response, EGR)は,Znフィンガードメインをもつ転写因子で,細胞増殖の重要な制御因子と考えられている.本研究で,ヒト歯根膜線維芽細胞(PLF)におけるEGR-1およびEGR-2の発現性を検索して,PLFの増殖とEGRとの関連を検討した. 1.ヘルシンキ条約に則り,同意を得た13名の患者様にいただいた抜去歯から歯根膜線維芽細胞(PLF)を3株,歯髄線維芽細胞を10株,採取・単離した. 2.PLFをDulbecco's Modified Eagle Medium (DME)のみで2日間培養した後,10%ウシ胎仔血清(FCS)含有DMEで15,30,45,60,そして120分間それぞれ培養して,増殖の指標として5-Bromo 2'-deoxyuridine取り込み量をELISA法で測定したところ,FCS添加後45分でピークを示した. 3.EGR-1およびEGR-2の発現性をImmunocytochemistry, Western blotで検索した.その結果,EGR-1タンパク質は15分後から発現の増加が認められ,特に30分後での局在は核やその周囲に集中していた.EGR-2は30分後をピークとし,45分後で核やその周囲で強い反応が認められた. 4.EGR-1 mRNA,EGR-2 mRNAはともに添加後15分から発現したことをNorthern blotから明らかにした. 以上の実験結果から,PLFの増殖において,EGR-1,-2ともに増殖の制御に役割を果たし,EGR-1がより早期に機能発現することが示唆された.
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